〔不動産・建築〕 |
◆アパートの一室で薬物販売をする不良入居者
依頼主/アパート賃貸業者
アパート賃貸業者をしている会社からの相談がありました。アパートの一室の賃借人がどうもその部屋で違法薬物の販売をしている様子であるとのことでした。確実な証拠はありませんでしたが、ネット上に広告が出ていました。家主の信用にかかわるので、早期にその賃借人に退去してもらいたいとの希望でした。
(相談後)
その賃借人を相手として地方裁判所に対し家屋明渡請求の訴訟を提起しました。薬物の販売をする時のさわがしさのために隣室の者が迷惑しているということを、明渡請求の根拠にしました。提訴して間もなく、その賃借人は自ら退去しました。
正当な理由を持たないで家屋を使用する人を相手として家屋の明渡しを求めるには、裁判所での明渡請求訴訟が最も強力です。
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◆マンションでの漏水についての管理組合の責任
依頼主/マンション管理組合
あるマンションの9階に住む夫婦が天井からの漏水で340万円の被害を被ったと主張して、そのマンションの管理組合に対して損害賠償の請求をしました。その屋上は通常、人が立ち入ることができない場所だったのですが、その屋上の排水管にゴミがつまっていたため、そのすぐ下の9階の部屋に水が漏れ出たというものでした。
(相談後)
たしかに屋上の排水口のある所は共用部分ですが、通常、人が立ち入らない所まで管理組合が管理の責任を負うとは考えにくいと言うべきです。訴訟では管理組合はこのように主張して争いました。結局、裁判所は賠償金56万円の限度で管理の責任を認めたのでした。
マンション管理組合という団体は、マンション共用部分の持ち主ではなく、単にその部分の維持管理を不定期に担当しているだけの存在なのです。マンションで生じた事故について管理組合に責任を帰することができる場面は、そう多くはないのです。
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◆建築請負契約を中途で解約する場合の違約金
依頼主/40代 男性
その男性は、あるハウスメーカーとの間で、その男性の居宅を建築する工事請負契約を結びました。工事請負代金は2670万円。その契約のときに男性は、第1回目の支払いとして100万円を支払いました。しかしその男性は契約の1か月後に、建築予定地の購入を資金ぐりの都合で断念しました。そのため、ハウスメーカーとの工事請負契約も解約することにしたのですが、そのハウスメーカーは契約金の100万円をその男性に返そうとはしなかったのです。
(相談後)
その男性は、消費者契約法9条を根拠として、ハウスメーカーに対し、契約金100万円のうち95万円の返還を求める訴訟を起こしました。その訴訟の提起をした後、すぐに、ハウスメーカーはその95万円の返還に応じたのでした。
契約が解除された場合、業者は、平均的に生じる損害の額以上の金額を取得してはならないと定めているのが、消費者契約法9条です。この事例のように、この規定は、実際上、強い効力を持っています。
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〔刑事事件〕 |
◆借りた自動車を返すのが遅れると横領罪になるのか。
依頼主/40代 男性
私の所に相談に来たその男性は、知人から借りた自動車をなかなか返さなかったことについて、警察からうるさく追及されていました。返すのが遅れただけで、それが業務上横領罪になるのでしょうか。
(相談後)
私がその男性から相談を受けた後、いろいろ調べてみますと、どうも警察の意図は別なところにあるようでした。その男性は、ある公職選挙について選挙違反の疑いがかけられていました。業務上横領というのは、警察がその男性を取調べするための口実だったのです。
私は、弁護活動として、選挙法違反の事実がないことを含めて警察へ説明することになりました。
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◆会社のお金が紛失したら、それは会計係の責任なのか。
依頼主/30代 女性
ある大きな店の事務室の中で、売上金約200万円が紛失するという事件が起こりました。私の所に相談に来た女性は、その店のただ一人の会計事務担当の従業員でした。警察はその女性を何度も呼びつけて、窃盗の犯人あつかいをするという状況でした。
(相談後)
私はその女性に対し、警察での取り調べの際の心構えを、徹底的に指導しました。窃盗した覚えのない人が犯人にされてしまうことは、絶対に阻止しなければなりません。けっきょく警察は立件をあきらめたのでした。
身に覚えのないことで警察から疑われたときは、弁護士に相談することは必要不可欠だと思います。
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◆児童ポルノをネットで入手すると処罰されるか。
依頼主/30代 男性
30年代の男性の所へ県外の遠方の警察が出向いて来て、その男性に対し、児童ポルノを入手したいきさつを追及しました。その警察は男性の自宅を捜索し、パソコンを押収して行きました。私はその男性から今後の対応について相談を受けました。
(相談後)
その男性は相談後、まもなく逮捕され、遠方の警察署で留置されました。私は、男性の家族と勤務先に対し今の状況について正確な説明をするとともに、男性が解雇されることを防ぐため、いろいろと苦心することになりました。遠方の警察署の留置場へ何度も面会に行き、被告人となった男性の保釈を実現させました。
ネットでの入手であっても、その入手を警察が知れば検挙されます。このような事件で本人が勤務先から解雇されないように配慮することも、弁護士の役目です。
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