第4 専有部分 Q10 中古マンションの専有部分を売却するとき売主は買主に対してその専有部分についてどこまで説明する義務がありますか。 1.売主の説明義務 売買という契約は特定の物件をそのままの状態で(現状有姿という表現がふつう使われます。)権利を移転させるものですから、売主は基本的にはその物件の内容について買主に特段の説明をすることは、求められません。 しかしこれには例外があるとされています。それは第1に、外部から見えなかったために、売主が知っているのにそれが隠れていたときの欠陥、第2に、売主自身がその物件の権利を売買契約に先立って他に譲ってしまっていたという事実、この2つについては、売主は買主に説明しないことは許されません。つまり逆に言えば、この2つについては売主には買主に説明する義務があります。 2.不動産取引を仲介する業者の説明責任 不動産取引を仲介する業者は、買主が上記の隠れた欠陥に気づくようにするため、買主に対してその点の説明をしなければならないと、法律上義務づけられています。 宅地宅建取引業法35条1項に定められた重要事項説明義務がこれです。業者はこの説明のために買主に、重要事項説明書という名前の文書を渡すことになっています。この文書を略して、重説と呼ぶことがあります。 3.中古マンションの売買において求められている重要事項説明 宅地宅建取引業法とその施行規則で業者に説明が義務づけられている重要事項は、マンション売買に関しては次のとおりです。 一 当該建物を所有するための一棟の建物の敷地に関する権利の種類及び内容 二 共用部分に関する規約の定めがあるときは、その内容 三 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容 四 当該一棟の建物又はその敷地の一部を特定の者にのみ使用を許す旨の規約の定めがあるときは、その内容 五 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用、通常の管理費用その他の当該建物の所有者が負担しなければならない費用を特定の者にのみ減免する旨の規約の定めがあるときは、その内容 六 当該一棟の建物の計画的な維持修繕のための費用の積立てを行う旨の規約の定めがあるときは、その内容及び既に積み立てられている額 七 当該建物の所有者が負担しなければならない通常の管理費用の額 八 当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名(法人にあっては、その商号又は名称)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地) 九 当該一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容 |
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