第6 管理組合の総会

 

14  総会の出席者数はどのように数えるのでしょうか。

 

1.定足数と表決数

    会議をやる場合の出席者の数については、定足数と表決数という二つの概念があります。

    定足数というのは、決議する前の状態として会議(集会)が成立したといえるための頭数、何人そろっていれば良いのかという数、それを定足数というのです。法律にはなんの定めもありません。しかし、管理組合規約では普通は、議決権総数の半数以上の出席を義務づけていることが多いようです。

    つぎに表決数というのは、決議する場合にその決議の内容が承認されるためには、どれだけの数が必要かというものです。表決する場合に必要とされる数、これが表決数です。表決数については規約や法律には詳しく書いてあります。4分の3とか過半数とかいうのは表決数です。

    会議を開会したら、議長はまず、この出席数の確認をしなければなりません。つまり定足数が満たされているかどうかを確かめるわけです。満たされていれば、議長は会議の成立を宣言することになります。

 

  2.代理人の出席

    ふつう規約に書かれていることですが、組合員本人が出席する代わりに代理人が出席することも認められます。規約で代理人となる人の資格を限定していることがあります。その場合はとうぜん、その資格のある人でないと代理人になることができません。

    代理人となる人は、本人が作成した委任状をその総会に提出して、代理人であることを証明しなければなりません。

    その委任状の中の代理人となる人の名前を書くべき欄が空白のままになっている、ということがよく見かけられます。これはどういう意味かというと、委任状と呼んではいますが、だれが委任されるかについては理事会にお任せしますという意味なのでしょう。常識的にそう考えられます。ですから理事会としては白紙委任状が出たら、本当はそこに名前を書くべきなのです。理事長のAの名前とか、副理事長のBの名前とかを、そこに事前に書き込んで用意をすべきだと、私は思います。その空欄に書き込まれないままの委任状が総会に持ち込まれたとしても、それで委任状が無効になるわけではありませんが、誰が委任を受けて誰が採決に参加したのかわからなくなる、というトラブルが起こりかねません。

  下記に紹介しました委任状の例のように、委任状用紙の中に、「この委任状に代理人の氏名が記載されていない場合、議決権は議長に一任されたものとみなします。」との注意書きがあれば、これはこれで有効です。この委任状の様式例は、住宅新報社刊「管理業務主任者の知識」(3訂版)の184ページに紹介されているものです。

 

  3.家族の代行出席

    区分所有者の代理として奥様が出ていらっしゃることが結構多く見受けられます。ご主人が区分所有者の場合、奥様が代理人として出席するのであれば、本当は委任状が必要です。本当はという意味は、ふつうは規約に代理人は書面を提出するとなっているからです。代理人は必ず書面を提出すると書かれていれば、たとえ妻であっても代理人として出席する以上は委任状を提出しなければなりません。規約にそう書いてある以上は、それが守られないと規約違反ですから、無効だといわれたら反論が難しいのです。規約に書面で委任状を出すとまで書いていなかったら大丈夫でしょう。奥様が出てくるというのは、ふつうはご主人から委任を受けて出て来ているのだろうし、そうではないとご主人が言い張ることは、ふつうはないからです。

 

  4.議決権行使書

    議決権行使書というのがあります、何号議案に賛成か反対か〇印をつけて、それを事前に出しておけば、意見表明にはなります。そういうのが議決権行使書ですけれども、議決権行使書を出した人を出席者とよぶのか、それとも欠席者とよぶのかは言葉の問題ですけれども、欠席は欠席です。紙切れが出ているだけであって議論には全く参加しませんから、欠席は欠席でしょう。しかし、実際の総会の運営の実務では、議決権行使書を提出した人も賛否を表明した議題を表決する限りでは、出席者として取りあつかわれています。


 



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