第6 管理組合の総会

 

15  総会の議事進行の注意点はどういうところでしょうか。

 

1.議長

    誰が議長になるかは、ふつう規約に定められています。国土交通省作成の標準管理規約では、「総会の議長は理事長が務める」とされています。

    その場合、勝手に副理事長が代行したら規約違反になります。

    区分所有法41条には、「集会においては別段の定めをした場合を除いて、管理者または集会を招集した区分所有者の一人が議長になる」と定められています。そうであれば、この規定にあわせて、総会において、理事長に事故があるときは、総会の冒頭で代わりの議長を置くことができるように規約を改正しておくべきです。

    管理規約の中に、「副理事長は、理事長に事故があるときはその職務を代理する」という規定がもしあれば、この規定を根拠として副理事長が理事長に代わって議長役を代理することはできます。

 

  2.議題と議事進行

    議題については、単に報告すれば足りるという議題と、賛成か反対か結論を出す議題とがあります。賛成、反対の結論を出さなければならないものを「決議事項」と呼んでいます。これとは別のものとして、決議を要しない、単に報告すれば良い、皆さんから意見を聞けばそれで足りるという「協議・報告事項」というものがあります。この2種類があります。

協議事項や報告事項は後になって協議や報告が無効だといわれることはありません。協議や報告は事実上のものなので、その効力の有効無効の問題は生じる余地はないのです。決算報告や事業報告はこれにあたります。

    他方、決議事項は、後で決議が無効だといわれたらいけない事柄なのです。総会ではこの決議事項が一番大事なので、決められた時間内に決議事項についての議事が採決まで行くように、そういうことを考えて議題の順番を決めておく必要があります。時間が足りないようなことが考えられるときには、決議事項を先に提案するのが適切です。余った時間で協議事項、報告事項を短時間でやってしまう。普通はそういうふうに運営します。時間がたっぷりあれば、そういう必要はなく、順番どおりにすればいいわけです。

 

  3.提案のしかた

    議事進行の仕方としては、まず提案をする。2番目に質疑を受け付ける。3番目に討論で意見をたたかわせる。4番目に採決する。このような段取りで会議というのはやるのです。つまり、提案、質疑応答、討論そして最後に採決というのが、議事進行の正式の順番です。

    複数の議案について、限られた時間内に採決にまで到達させるために、一括して提案するというやり方をすることがあります。議案が相互に関連するものでなければ一括提案はできませんので、おのずと限度がありますが、失敗なく限られた時間内に運営するためには、一括提案ということも考えなければなりません。一括提案をすると、あとは賛成意見や反対意見を時間の限り述べてもらって、ほぼ時間が来たころに、討論を打ち切って採決をするのです。

 

  4.採決

    決議事項について最後の段階で採決をすること、それが議決です。賛成者、反対者の数を勘定するのです。

    このときに表決数が問題になります。この表決数については、2種類があります。一つは、区分所有者の頭数です。これは、たった一人の区分所有者が何部屋持っていても1です。たとえば分譲会社が売れ残りの部屋を20ぐらい抱えていたとしても、この場合の勘定の仕方は区分所有者数が1です。持ち主の頭数で一部屋持っている人、複数持っている人、みんな平等に頭数で勘定するというものです。

    もう一つの勘定の仕方が議決権です。これについては法律では、専用部分の床面積に比例するというのが原則です。数えやすさを確保するために、一部屋に1議決権という、そういう修正が普通は行われていますので、ほとんどのマンションでは一部屋については1議決権、あるいは広い部屋については2議決権という具合に単純化されていることが多いでしょうが、そういうのが議決権です。持ち主である所有者の頭数と何の関係もありません。専有部分の面積に比例した勘定の仕方、それが議決権です。採決では、区分所有者の頭数についての勘定と、議決権の数についての勘定、この2種類について採決しなければならないのです。



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