6 管理組合の総会

 

16  普通決議と特別決議について説明してください。

 

1.普通決議

    総会での議事は、区分所有法又は規約で別段の定めをしている場合はその別段の定めに従うことになりますが、そうでない限り、区分所有者と議決権のそれぞれの過半数で決します(区分所有法39条1項)。この表決数による決議を普通決議と呼んでいます。

    この区分所有法39条1項が言っているのは、原則として、全部の区分所有者数の過半数と、全部の議決権数の過半数の賛成が必要だということなのですが、その過半数計算の基礎となる区分所有者数及び議決権数については、規約で別段の定めをすれば、異なる範囲の区分所有者数及び議決権数をこの多数決の基礎数にすることができる、ということなのです。

    そのため、多くの管理組合では、その規約に特則を設けて、全部の組合員ではなく、その総会に出席している人を普通決議の場合の基礎数にしています。このような特則規定が規約中に設けられているのであれば、その場合は、総会に出席している者の範囲内で、その出席者の区分所有者数及び議決権数の過半数をもって賛成数を計算すれば足りる、ということになります。

    ほとんどの議決は普通決議で足ります。予算案の承認、組合員の一時金負担の決議、管理会社変更の決議、大規模修繕工事契約を結ぶことの承認などがこれにあたります。

 

  2.特別決議

    区分所有法の中には特に、過半数を上回る数の賛成を必要とされる性質の決議があります。

    その第1は、規約の設定、変更または廃止の場合の決議です。これについては、区分所有者の全員、及び議決権の全部のそれぞれ4分の3以上の多数決による総会の決議によってすることとされています(区分所有法31条1項)。この4分の3以上の数の計算の基礎となる区分所有者数及び議決権数を規約の特則でゆるめることは、認められていません。

    特別多数を必要とする決議としては、次に、共用部分についての変更の決議があります。共用部分の形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除いて、共用部分を変更させる内容の決議は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による総会の決議によってすることとされています(区分所有法17条1項)。ただし、この区分所有者の定数は、規約で定めることにより、その過半数まで減ずることができます。

    その他の特別決議事項としては、管理組合法人となることの決議(同法47条)、不良入居者に対する使用禁止請求(同法58条)、区分所有者に対する競売の請求(同法59条)、滅失した共用部分の復旧の決議(同法61条)などがあります。

 

  3.過半数ということの意味

    過半数というのは半数を過ぎる、という意味ですから、全体が50の場合は26になるわけです。半数は25ですけど25の賛成では足りません。半分の25を過ぎていなくてはならないので26です。では49の場合はどうか。半分は24.5です。24.5を過ぎていなくてはならないので25です。

    4分の3の場合は4分の3以上となっているのでその数字を含むのです。ですから全体が100の場合は4分の3以上というのは75のことです。75でいいわけです。



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