第2 マンションの売買契約 Q2 令和2年の民法改正でマンション取引の瑕疵担保責任はどう変ったのですか。 1.令和2年(2020年)4月1日の民法改正 民法の財産編について、平成29年5月26日、第193回国会において施行以来121年ぶりと言われる大改正が行なわれました。この改正法は同年6月21日公布され、令和2年(2020年)4月1日に施行されました。 この改正法の中ではマンションの取引に関係する部分は、ひとつは民法第一編総則の中の「時効制度」の規定であり、あとひとつは民法第三編債権の中の「売買の効力」の規定です。 その改正規定の中でもっとも大きく変更したのは、瑕疵担保責任に関するものです。 2.契約不適合責任 この改正で、従来の瑕疵担保責任が廃止され、新しく契約不適合責任というものが設けられました。 新しく創設された契約不適合(新562条以下)という概念は、従来の隠れた瑕疵概念(旧570条)と同じものか否か、という問題が出て来ました。 これについては、その内容において実質的には異同がない、と考えるのが通説です。 その契約不適合責任の内容として目的物の修補請求権が新設され、代金減額請求権も新設され、従来から認められていた損害賠償請求権はその賠償の範囲が信頼利益の補償から履行利益の補償へ拡大しました。契約解除権は従来どおり認められました。 3.住宅品質確保法の同時改正 住宅の品質確保の促進等に関する法律の95条は、新築マンションの分譲契約にそのまま適用される規定です。同条も民法改正の契約不適合責任の条項(新562条以下)と整合するように、同時に改正されました。 改正されたこの住宅品質確保法は、従前の瑕疵概念を残しつつ、これを不適合概念に置き換えた体裁をとっています。したがってその95条の解釈としては、従前と改正法施行後とで異同はない、と考えられています。 4.宅地建物取引業法の同時改正 宅建法は、改正民法と平仄を揃える形で、従来の「瑕疵」の文言を、「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合における不適合」と改正しております。 |
目次のページへもどる |