第8 財務

 

22  管理組合が組合員に対して毎月の管理費を請求する根拠はどういうものですか。

 

1.管理費請求の根拠

    法律上は、滞納している管理費を請求する根拠はふたつあります。ひとつは、「〇〇号室の管理費は〇〇〇〇円とする」ということが、管理規約の中で定められていることです。ふたつめは、そういう規約がないとき、ある時期の管理組合総会でその旨の議決がされたことがあることです。

ひとつめの根拠の管理規約を理由として請求するときは、その根拠を示すために、「管理組合は平成〇〇年〇月〇〇日の総会で管理規約を定めた。同規約によれば、〇〇〇号室の月額管理費は〇〇〇〇円とされている、この管理費の平成〇〇年〇月から平成〇〇年〇月までの分を請求する。」という言い方をします。

    ふたつめの根拠は、建物の区分所有等に関する法律の第19条が「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持ち分に応じて、共有部分の負担に任じる。」と定めていることの解釈にもとづきます。この場合は、組合が管理費を裁判手続で請求するときは、訴状という書面の中に、その請求の根拠を示すために請求原因として次のように記載しなければなりません。「管理組合は平成〇〇年〇月〇〇日の総会で、共用部分の管理についての費用〇〇万〇〇〇〇円について、〇〇〇号室の負担分を〇〇〇〇円と決議した。この管理費を請求する。」とするのです。

 

  2.管理費の額を決めるのは規約であること

    ふつう管理組合が組合に毎月の管理費を請求するやり方は、ほとんどの場合、上記のひとつめの方法です。

    このことからおわかりかと思いますが、管理費の額を当初決定し、また後日変更するときは、管理規約の定めの制定又は変更として総会で4分の3以上の賛成が必要です。管理規約の定めがなくても総会決議だけで、過半数の賛成を得て管理費の請求をすることができるのは、そのとき限りの臨時負担金を決める場合だけなのです。

    いずれにしても、訴訟を起こす場合の証拠とするため、管理組合としては、その定めのある管理規約正本、又は総会議事録を保管しておく必要があります。

 
 

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