第8 財務

 

25  区分所有者が管理費を支払うことの判断能力を失ったときはどうなりますか。

 

1.管理組合から区分所有者に対する請求

    区分所有者本人に認知症といわれる状態が見られるようになっても、そのこと自体は、管理費を毎月きちんと支払ってもらうことに特別の支障はないはずです。

    いわゆる認知症のかぎらず、本人が生活上の通常の判断能力を失ったときでも、裁判上の請求をその滞納者本人に対してすることに支障はありません。

 

  2.訴訟手続における書類の送達

    裁判所から区分所有者本人あてに書類の送達をするのですが、このとき本人にふつうの判断能力がないために、その本人が書類の受領を拒むということが起こります。その部屋にいるのにいないふりをする人もいます。これでは、裁判所は書留の郵便を送ることができません。

    裁判手続きとしては、かならず書類は本人に届けなければならないことになっていますから、書類の送達が書留郵便という方法でできないという事態は、かなり面倒なことなのです。

    郵便局員による配達ができないときは裁判所は、裁判所の執行官を使って直接に書類を届けます。執行官送達という方法ですが、これは夜間あるいは休日に本人が在宅していそうな時間に直接もっていくのです。

    本人がそこに住んでいることがはっきりすれば、裁判所は書留郵便を発送するだけで配達されたものとみなす扱いをすることもあります。このときは、その書留郵便が、本人の受領拒否によって裁判所に返送されることがあったとしても、発送のときに届いたものとみなされるのです。

 
 

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