第8 財務

 

Q28  中古マションを買った人は前所有者の未納の水道料金についても管理組合に支払う義務がありますか。

 

1.区分所有権を譲渡したときの債務の承継

    区分所有者は、その区分所有権(マンションの専有部分と共有持分)を前所有者から買い受けたときは、買ったその部屋に関係する各種の支払義務も引き継ぐことになります。たとえば、管理費や修繕積立金について未納となっている分の支払い義務、居室のガラス戸などについて負担していた修繕費用の支払い義務などが、その例です。

    建物区分所有法の第8条には、①共用部分についての債権、②規約や集会の決議にもとづく債権は、その支払い義務者の特定承継人(売買の場合の買受人、相続の場合の妻や子などの相続人がこれにあたります。)も、もともとの支払い義務者と同じ義務を履行しなければならないと定めているのが、その根拠です。

 

  2.水道料金の支払い義務

    区分所有者が管理組合に対して水道料金を支払う義務があるのは、その管理組合がそのマンション全体で使用する水道水をまとめて水道管理者へ支払い、そのあとで管理組合が個々の居住者に個別の使用料金を請求するという方式をとっている場合です。このような水道料金は、前記の区分所有法8条の①の債権にも、②の債権にもとうぜんに該当するようには見えません。そのため、裁判例では、前居住者が未払いのまま残した水道料金について、買受人が支払い義務を引き継ぐことを否定することがありました。

    そうならないための対策としては、管理組合の規約の中に、水道料金を支払うことは区分所有者の義務であることを明記しておくことが必要です。そういう規約があれば、前述の第8条の②の債権にあたることが明確になるのです。

 
 

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