第8 財務

 

31  59条競売というのは何ですか。

 

1.区分所有法59条

    建物の区分所有等に関する法律という名称の法律があります。これを区分所有法と略称していますが、その区分所有法の第59条に、次のような規定が置かれています。

   (区分所有権の競売の請求)

    第59条 ① 第57条第1項に規定する場合において、第6条第1項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によってはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもって、当該行為に係る区分所有者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求することができる。

   ② 第57条第3項の規定は前項の訴えの提起に、前条第2項及び第3項の規定は前項の決議に準用する。

   ③ 第1項の規定による判決に基づく競売の申立ては、その判決が確定した日から6月を経過したときは、することができない。

   ④ 前項の競売においては、競売を申し立てられた区分所有者又はその者の計算において買い受けようとする者は、買受けの申出をすることができない。

 

  2.滞納管理費を請求する最終手段

    滞納管理費を回収するためその対象とする区分所有権に先順位の抵当権がついていて、しかもその被担保債権の額が大きくて、管理組合が強制競売の申し立てをしても売却代金から配当を得ることができないという見通しのとき、それでも管理組合が滞納管理費を回収することができる最後の手段があります。

    それは上述の区分所有法59条競売の申し立てをするという方法です。

    先順位の抵当権の被担保債権が物件価格を超えて設定されていても、その物件が競売で売却されてしまえば、管理組合としては、その売却後の物件取得者から以後の月々の管理費を支払ってもらえるようになり、さらに過去の滞納分も新規の物件取得者から支払ってもらえるはずです。こういうことを可能にする方法がこの59条競売という方法です。

 

  3.区分所有法59条競売の許可を求める訴え

    管理組合は上記の方法を取ることを希望するときは、まずは、裁判所に対して、この59条競売の申し立てを許可してほしいという訴訟を起こさなければなりません。

    その訴訟において、管理組合は、滞納している管理費および修繕積立金の回収がこれ以上遅延すると管理組合の運営に重大な支障が生じるという状況、つまり滞納額がかなり多額になっているということを、証明しなければならないことになっています。

 

 
 

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