第9 請負工事契約

 

Q32  管理組合が大規模修繕工事をするとき組合の総会では組合員のどの割合での承認が必要ですか。

 

1.共用部分の変更かどうか

  その工事が共用部分の変更にあたる場合は、総会の決議で、区分所有者全員の頭数の4分の3以上と、議決権の総数の4分の3以上の両面において、多数による承認が必要です(区分所有法17条1項)。

    その多数決は、総会出席者の多数なのではなく、総会欠席者も含めて全員の頭数と議決権総数について計算します。

    ここでいう変更というのは、共用部分の形状または効用を確定的に変えることだと解釈されています。形状というのはその外観や構造のことです。効用というのはその機能や用途のことです。

    その意味での形状や効用について著しい変更を伴なわないものは、この区分所有法17条1項でいう変更には当たらないとされているのです。

    そして、一般的に大規模修繕工事は、マンション共用部分の形状や効用について著しい変更をするものではないことから、通常この4分の3以上という特別多数の決議は、承認決議としては必要がないと考えられています。

 

  2.共用部分の管理はどういう決議が必要か

    共用部分の管理に関する事項についてその実施を決めるときは、総会の普通の決議ですることになります(区分所有法18条)。

    この普通決議と呼ばれる決議の方法は、区分所有者総数と議決権総数について、それぞれの過半数で決する方法です。ただし、この要件は規約で異なる扱いをすることが認められていますので、規約で特に定めておれば、全組合員を多数決の基礎数とするのではなく、総会に出席した人だけを多数決の基礎数にすることはできます。

    大規模修繕工事についての承認の決議は、この普通決議でするのです。

 

 
 

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