第10 管理委託契約

 

36  管理組合は管理会社に何を委託しているのですか。

 

1.管理組合の目的

    管理組合が法律上の存在として認められているのは、区分所有者の全員で建物(マンション)共用部分とその敷地の管理を行う目的で団体として活動するからです。建物の区分所有等に関する法律(ふつう区分所有法と略称されています。)の第3条がその根拠だと解釈されています。

    管理組合が自分自身で役員を定めて、上記の建物共用部及び敷地の実際の管理のすべてを自ら行うときは、この方式を自主管理と称しています。

    これに対し、管理組合がこの実際の管理のうちの大部分を他の専門業者に委託して、それをその業者にやってもらう方式もあります。この方式は委託管理と称されています。この委託を受ける専門業者のことを、世間では管理会社と言っているのです。

 

  2.管理会社が委託されていること

    管理組合は、管理会社に管理を委託するときは、両者で管理委託契約という名前の契約をします。

    この管理委託契約書においては、委託する事務の内容として①事務管理業務(その具体的内容を別表に掲げます。)、②管理員業務、③清掃業務、④建物・設備管理業務の4種を記載するのが一般的です。

    上記①の事務管理業務としてはふつう次の事項が掲げられています。

1 基幹事務

(1) 管理組合の会計の収入及び支出の調定

() 収支予算案の素案の作成

() 収支決算案の素案の作成

() 収支状況の報告

(2) 出納

() 組合員が組合に納入する管理費、修繕積立金、専用使用料その他の金銭(以下、「管理費等」という。)の収納

() 管理費等滞納者に対する督促

() 通帳等の保管等

() 組合の経費の支払い

() 組合の会計に係る帳簿等の管理

(3) 本マンション(専有部分を除く。以下同じ。)の維持または修繕に関する企画又は実施の調整

2 基幹事務以外の事務管理業務

(1) 理事会支援業務

() 組合員等の名簿の整備

() 理事会の開催、運営支援

() 組合の契約事務の処理

(2) 総会支援業務

(3) その他

() 各種点検、検査等に基づく助言等

() 組合の各種検査等の報告、届出

() 図書等の保管

 

3.賃貸物件の管理をする不動産業者

    個々の区分所有者が自己の専有部分を区分所有者以外の人に賃貸することがあります。この場合、その区分所有者がその賃貸借についての事務の全部を不動産業者に任せてしまうことがあります。世間ではこのような立場の不動産業者を、管理会社と呼ぶことがあります。

    このような立場での管理会社は、その特定の賃貸物件の管理(いわば賃貸物管理)を所有者から委ねられているだけですから、もちろん建物全体の共用部分について管理をすることはありません。ですから、上記1のマンション共用部の管理(いわば共用部管理)をする管理会社とは、まったく異質です。

 

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