第11 不良入居者対策

 

Q43  管理組合が不良入居者を相手として裁判をする場合の訴えの原告になるのは誰でしょうか。

 

    使用禁止請求、競売請求、解除引渡請求の訴えを提起するとき、その訴を提起する人(原告)は、いずれの場合も、区分所有者全員か、または管理組合法人とされています。

    管理組合に法人格がない場合、上記各請求をするとき区分所有者全員が原告になるわけですが、具体的にはどうすることになるのでしょうか。この場合、この請求権がいずれも法によって定められた特別の団体的請求権であることに鑑みて、他の未払管理費等の請求の場合のように権利能力なき社団の法理によって管理組合自身が請求権者となるというわけにはいかない、とする考え方が有力です。

    したがって、この立場では、管理者が「△△管理組合管理者〇〇〇〇」として、または総会決議によって特定の区分所有者を訴訟追行者として指定してその者が「訴訟追行権者〇〇〇〇」として、個人名をもって原告となるしかありません(区分所有法57条3項)。

    ただし、下級審の判例には権利能力なき社団の法理によって管理組合を請求権者として取り扱っているものも少なくないようです。

    具体的な事例では、総会決議によって、理事長や副理事長等を訴訟追行権者として選任して訴訟追行権を付与する場合が多いようです。

    訴訟追行権者に指定された者は、いわゆる任意的訴訟担当の一種ですから、理事長等をやめたり、区分所有者でなくなってもその訴訟追行権を喪失しません。

 

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