第12 生活紛争

 

Q47  階上の子供が出す騒音に対して階下の住人はどういう対抗措置をとることができますか。

 

1.騒音の種類及び内容

    一般には次のように説明されています。

    衝撃音には2種類があり、そのひとつの重量衝撃音というのは、子供の体重に近い重量物を高さ1m程度から落下させたときの床衝撃で発生する音です。また、あとひとつの軽量衝撃音というのは、椅子の引きずり音やスプーン等の比較的軽量の固形物が落下したときの衝撃音です。

    伝搬の性質の違いにより2種類に区別されます。固定伝搬音というのは、上階の床振動によって音が階下に放射されるものや、壁や柱の振動が伝搬して音を放射するものを言います。また、空気伝搬音とは、上階の床または下階の天井を通過して来る音や、空から伝わってくる音のことを言います。

 

  2.受忍限度論

    一般に、騒音の違法性判断においては、一般通常人ならば社会共同生活を営む上で、当然受忍すべき限度を超えた侵害を被ったときに、その侵害は違法であるとする受忍限度論が用いられています。

    騒音被害が受任限度を超えているかどうかは、侵害行為の態様や侵害の程度のほか、被侵害利益の性質と内容など、諸般の事情を総合的に考察して決することになります。

    また、騒音を発した者の住まい方に工夫や誠実さがあったかどうかの点も、考察する必要があると言われています。

 

  3.防音対策

    ふつうは、設備上の対策としては、板張りの床の上にカーペット(遮音素材のもの)を敷くというような対策がとられることが多いでしょう。

    しかしそれだけでは目標の静かさを確保できないこともあります。その場合は、遮音シート入りの床用マット(市販されています。)を利用する必要があるでしょうし、防音性能を高めるためにフローリングそのものをやり直すことが必要となるかもしれません。

 

  4.裁判所が命ずる対応策

    裁判所が判決で騒音被害についての対応を命ずるときその内容は、通常は、過去に生じた被害についての賠償金の支払いの命令です。慰藉料として〇〇万円を支払え、騒音測定費用〇〇万円を支払えというような判決になります。

    今後も受忍限度を超えた騒音が予想されるときは、「被告は原告に対し、午後9時から翌日午前7時までは40デシベル、午前7時から午後9時までは53デシベルを超えて騒音を到達させてはならない。」というような判決をすることになります。

    なお、このような判決を裁判所でしてもらうためには、騒音被害者本人が原告になる必要があります。管理組合が原告になるのではありません。

 
 

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