第3 共用部分

 

5  共用部分の欠陥による漏水について管理組合はどのように責任を負うのですか。

 

1.共用部分の欠陥そのものについての補修の責任

    共用部分については、通常、管理規約において、区分所有者により構成された管理組合が管理の権限を有するのみならず、その責任と負担において管理を行うこととされています。マンション標準管理規約(令和3年6月22日版)の21条1項には、「敷地及び共用部分等の管理については、管理組合がその責任と負担においてこれを行うものとする。ただし、バルコニー等の保存行為のうち、通常の使用に伴うものについては、専用使用権を有する者がその責任と負担においてこれを行わなければならない。」と定めています。つまり管理組合は区分所有者に対する関係では、欠陥の補修について当然にその責任を負うと考えられているのです。

    管理組合はその費用を負担して補修の工事を実施しなければなりません。

 

  2.共用部分に生じた欠陥が原因となって発生した損害

    共用部分に生じた欠陥が管理組合の作為又は不作為による結果であれば、その欠陥を原因として生じた損害を管理組合が、債務不履行の責任(民法415条1項)として賠償しなければなりません。

    またその共用部分は、地上の工作物であり、管理組合が管理中のものであることから、工作物についての管理者としての工作物責任(民法717条1項)を負うことは避け難いことです。

    なお、区分所有法9条は、「建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人に損害が生じたときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。」としています。

 

  3.損害賠償責任についての管理組合と区分所有権の関係

    福岡高等裁判所の平成12年12月27日判決は、次のように述べています。

    「管理組合は、建物の区分所有等に関する法律3条に基づき区分所有の目的とする建物並びにその敷地等の管理のために区分所有者全員をもって構成するものとされ、敷地及び共用部分等の管理をその責任と負担において行うものとされているのであるから、管理組合において管理すべき共用部分に起因して個々の区分所有者に損害が発生した場合、その区分所有者の責に帰すべき事情がない限り、その損害が最終的には全区分所有者間でその持ち分に応じて分担されるとしても、先ずは管理規約に基づいて管理組合に対して請求できると解するのが相当である。」

 
 

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