第4 専有部分

 

8  管理組合は専有部分の用途制限についてどこまで管理上の責任がありますか。

 

1.専有部分の用途制限

    居住用マンションの管理規約ではふつう、「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。」と定められております。その規約どおり専有部分を居住以外の用途には使わないことは、その専有部分の所有者である区分所有者の責任に属することです。

    ですから、仮に区分所有者に用途制限についての違反があっても、このことで直ちに管理組合がその違反について責任を負うことはありません。

 

  2.管理組合の承認があれば住居以外に使っていい場合

    ところが当該マンションの管理規約が「区分所有者は管理組合の承認を得て住居部分を事務所に使用することができる。」と規定している場合はどうでしょうか。このような規定があれば、管理組合としてその承認を与えるかどうかについて、決断をしなければなりません。

    管理組合に認められたこの承認の権限は、区分所有者の専有部分についての所有権行使の可否を決する重大なものですから、理由なく承認を拒絶すれば社会的に相当の範囲を超えた所有権侵害として違法となることがあります。

    管理組合がその承認を与えるか否かを判断するに当たっては、結局のところ、事務所としての使用を制限することによって全体の区分所有者が受ける利益と、事務所としての使用を制限されることによって全体の区分所有者が受ける不利益とを比較考量して、決定することになります。その場合に管理組合が違法に規約の運用をしたと見られるときは、管理組合はそれによって当該区分所有者が被った全部の損害についての賠償の責任を負うことになります。

 

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